生物実験Ⅱ 第一回 アオゴカイ

僕の通っている大学は、海の大学ですので、海の生物に関する授業や実験や実習があります。
実験は、イカとか、エビとか、クジラの耳くそとかを昼から夜までひたすらスケッチするという実験です。
僕は、大学に通うまでずっと陸地に住んでいましたので(琵琶湖はありましたが)、海の生物に関する知識は皆無に等しいといっても過言ではありませんでした。恥を忍んで言いますと、今回のブログに書くゴカイという生物も、大学に来るまで聞いたことも見たこともありませんでした。ウミガメだって何にも知らなかったからね(ふふん 笑)。
ですが、ここはやはり海の大学なわけで、研究室のことも考えないといけないとなると、このままではいけないわけです。少しでも、多くのことを吸収しないと(←いまさら)。
ってことで、実験の予習復習として、文献でその生物を調べることにしました。で、どうせならここにも載っけてしまおうと思いまして。ポピュラーな種ではありますが、変な生き物ばかりなのでなかなか文献が集まりません。それなりにまとめてみました。

と、いうわけで今回はアオゴカイです。
アオゴカイ (Perinereis aibuhitensis Grube,1878)
環形動物門 多毛綱 ゴカイ科

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頭部写真

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Fig.1 体前部背面拡大図

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Fig.2 尾部背面図

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Fig.3 消化管前部
Fig.4 疣足

えっと、部分的な写真やらスケッチしかないので全体像がつかみにくいのですが、
ヤスデを巨大化して、もう少し柔らかくして、毒々しい感じをなくしたものがゴカイのイメージ図かな(笑
とか言ってないで写真見せた方がいいですよね。こんな感じです
気持ち悪いでしょう。でも、まじまじと見てみると、つぶらな四つ目が可愛く見えたりもするんです。
まあでも、ゴカイに生まれ変わりたくはないし、ゴカイに襲われたりもしたくないなと思いました。
ゴカイの仲間(多毛綱)は形態や生態が多様で、中には深海の熱水噴出孔の周りにすむ、口も肛門もない(すなわち消化器官が全くない)チューブワームも含まれています。

アオゴカイは、一般的にはアオイソメとして釣りの餌としてよく使われています。日本に生息しているものではなく、朝鮮や中国等の潮間帯の砂中に生息しています。釣り後、投棄されたりして大量に日本にも放されていると考えられますが、不思議なことに日本に定着してしまったという報告は特にこれといってないとのことでした。
Fig.1に見られるような硬いアゴ(キバみたいなやつ)は、普段は見えません。普段は、(おおざっぱに言うと)ミミズの頭のような形をしているのですが、餌をとるときに、口の中からぺろっとアゴを出して、餌を挟み、それを口の中へと運びます。
面白いのは、見た目はゴカイによく似たイソメ目のイワムシとのアゴの成分の違いです。
イワムシのアゴにはカルシウムが多いのですが、アオゴカイのアゴにはヨウ素や塩素、臭素、亜鉛が多いそうです。また、表面にはヨウ素と臭素が、内部には塩素と亜鉛が多いとのこと。
この違いは、岩の中に穴を掘るために硬いアゴが必要なイワムシと、餌をしっかりとつかみ、口に引きずり込むために弾力のあるアゴが必要なアオゴカイの、生態的な理由によるものかもしれないとのことです。
移動は疣足と、剛毛(Fig.4)によって行われます。剛毛は、疣足内部にある足刺とつながっていて、筋肉が動くと連動して剛毛も動くようになっています。剛毛にもヨウ素がたくさん含まれているとのことですので、アオゴカイはヨウ素が豊富であるということですね。イソジン飲むよりアオゴカイ食べたほうが放射能対策になるんじゃないかな(もちろん冗談ですので真似しないでください。真似っておかしいか)。
血液は人間とおなじくヘモグロビンで構成されています。

また、多毛綱は再生能力に優れたものが多く、トカゲのように緊急の際には体の一部を自切することで難を逃れるものも多いようです。また、限られた種ではありますが、頭部を含む体の前部を再生できるものもいるようです。こわいですね。
なんか、他にも疣足が生殖器になったり、剛毛をメスの体に刺して精子を送り込む種がいたりと、へんな多毛綱がたくさんいることがわかったのですが、あまり書くと長くなるので今回はこの辺で。

何か訂正とか補足とかあれば教えてください!

次週、ハマグリです。

<参考文献>
「無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)」 白山義久
「貝殻・貝の歯・ゴカイの歯」 大越健嗣
「環形動物 多毛類」 今島実
by kobaso | 2011-04-20 00:23 | 生物小話
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