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舟を編む

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「『右』とは何か、説明してみてください」

友人と、久しぶりに映画館で映画を観てきました。

辞書を編集する人々を描いた作品。三浦しをん原作の小説が、本屋大賞になって話題になったりしていました。僕はまだ原作を読んでいないのですが、原作を読んだ友人が観ても「面白かった」とのことです。
キャスティングがいいのかなぁ。

中学の時からずっと、僕は国語が好きだったり、ちょっと昔の小説が好きだったのですが、その理由の一つが、「知らない言葉がたくさん出てくるから」でした。知らない言葉に出会っては、辞書で調べて、へーって感心するのが好きだったなぁ。高校になってからはしてなかったと思うけれど、中学の頃は覚えたての言葉を得意気に使ったりしたものでした(あーーーー恥ずかしーーーーー)。
いつからか、国語辞典を開くこともなくなってしまったなぁ。まだまだ知らない言葉なんてたくさんあるのにね。いつの間にか、漢字や文脈から何となく意味を推測して、読み進めるようになってしまいました。
この映画を観ると、再び、辞書を手にとってみたくなります。
あの辞書を引いているときの感覚って、「言葉を自分の中に集める」感覚だと思うんだけれど、辞書を作る人たちはそれこそ、辞書のために世の中から言葉を捕まえてるんですね。
電子辞書を使うようになってからあまり意識しなくなってしまったけれど、集める人がそれぞれ違うから、集め方もそれぞれ違うから、出版社によって辞書の個性もばらばらだったりしますよね。友人の辞書と自分の辞書では載ってる意味が違ったり(大差はないのだけれど)。今の子たちは、電子辞書オンリーだから、そういうことってわからないのかもね。
そういう意味では、あのくそ重たい紙の辞書を学校に持って行っていたのも、無駄では無かったかなと思います。あと、無意味に辞書をぱらぱらめくって、目についた言葉の意味を調べるのも結構面白いんですよね。

この映画に登場する人物たちが作る辞書では、昔からある言葉だけでなく、最近別の意味でつかわれるようになってきた言葉(「憮然」など)や、若者言葉も載っているそうです。そうすると、最近話題(たぶん)の「激怒ぷんぷん丸」とかも載せることになるのかな。そういえば、ちょっと昔にあった「間違った日本語を使うのはけしからん」「近頃のものは勝手に言葉を作りすぎだ」論争はどこへ行ったのでしょうね。どういう決着で終わったのかな。
言葉は移ろうものだけれど、そう主張した人たちが言いたかったことって、きっと「言霊を大事にせい」ってことだったんじゃないかと思います。
「激怒ぷんぷん丸」に言霊があるかどうかと言われれば、んー。どうなんだろう。けれど、この映画の登場人物たちなら、どんな言葉であっても集めて、その言葉に魂があるかのように扱うんだろうな。

そしてそして、オダギリジョーと宮崎あおいをたっぷり観ることができて、幸せでした。


観終わった後、衝動的に実家に電話して、実家に置いてきた新明解を送ってくれるように頼んでしまいました。
札束と一緒に送ってくれるよう頼んだので、これで精神的に充実した日々を送ることができると思います。
by kobaso | 2013-05-21 00:55 | 映画小話
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