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ディア・ドクター

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「山あいの小さな村から、たった一人の医師が失踪した。警察がやってきて捜査が始まるが、驚いたことに村人は、自分たちが「神さま仏さま」より慕っていたはずの男について、はっきりした素性を何一つ知らなかった。やがて経歴はおろか出身地さえ曖昧なその医師、伊野の不可解な行動が浮かび上がってくる…。」(公式ホームページ ストーリーより)

この映画、ネタバレせずに感想を言うのがすごく難しいのですが、一週間のうちに3回観ました。
それだけ観ようと思える映画だし、観ることができる映画。
話としては重いんだけれど、それでも面白いと思える映画です。
話が終盤に近づいたときの、それぞれの表情がすごく印象的。
それぞれが、何かを隠してる。隠しているものはそれぞれ違うけど。
なんというか、この映画にはいろんな人の立場にくるくる立ちまわれる面白さもあるのかな。
立場の違いとか、それによる隠しごととか、本心とか、一人ひとりが、すごく魅力的というか興味深い。そして八千草さんが、おばあちゃんにもかかわらず色気が出てて怖い(悪い意味ではなく)。

伊野治は、善人か、偽善者か、結果的には悪人か。
たぶん、ただのひとりのおじさんなんだろうけれど。
by kobaso | 2011-02-21 00:19 | 映画小話

カルトローレ

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沙漠では、ことばもかたちを見失うのね――。長く生活の場であった《船》をおりた私は、キビ色の沙地の白い家で暮すことになった。パイ生地のようになった109冊の航海日誌(カルトローレ)を解読することが仕事だ。そこに現れたのは、琥珀色の肌の少年、蜜色の髪に淡緑の目の青年、移民局の役人、そして――。現と幻のあわいに拡がる物語。  
(新潮社ホームページより)

長野まゆみさんの本は、たぶん、好き嫌いがはっきりと分かれるんじゃないかな。
なんというか、メルヘンチックなんです。文章が。どファンタジーというか(笑
僕は結構好きです。ただ、BLに走ってしまうこともあって、ちょっとびくびくしながら読むんですが、
この本は面白かった。

今まで砂漠を舞台にした話を観たり読んだりしていなかったからか、
情景をイメージするのに結構苦労して、終始ぼんやりとした情景しか頭に思い描けなかったのですが、
逆にそれが良かったのかもしれない。
ストーリーも、決してははああああなるほどねそいううことだったのか!!みたいな、
ミステリーを読むときのような感じはなく、やはりぼんやりしてます。
でも、それがすごく、読んでて気持ちがいいというか、砂漠にいるような感じにも似ているし、夢の中にいる感じにも似ているのかな、心地良いんです。

筆者も、そのぼんやりを狙っているような節があって、
主人公のタフィや、コリドー、エリジン、ワタの存在、関係、過去、現在、未来が、
どうとでも解釈できる。読者の頭で、どこまでも話を膨らますことができる。
本の世界から離れると、なんというか、夢から覚めて、大体のことは覚えているんだけれど、核心のところを忘れてしまっているような感覚に陥ります。またすぐに眠って夢が観たくなる感じ。
本を読み終えると、そんな夢を観たけどまた寝ている余裕はなくて、電車の中とかで夢の続きをぼーっと考えている時みたいな、そんな気持ちになる。

あと、長野まゆみさんの本のなかには、たくさんの食べ物や飲み物が出てくるんだけれど、どれもすごく独特で、綺麗。
例えば、

「ニンニクのすりおろしと卵黄とレモンを練り合わせる。粒胡椒をすこし。ワタはひよこ豆をピュレにして、白胡麻とあえる。コリドーはワックスペーパーで風船をこしらえ、なかにシイラの切り身をならべた。香草とレモンとバターをのせて蒸し焼きにする。私は米でつくった薄い皮に半熟玉子とチーズをくるみ、油で揚げた。ワタはべつの鍋で小さな赤い茄子やソラ豆や子芋などを素あげにする。」
「香辛料のはいったコーヒーは欠かせない。それにジャスミンの花の水晶づけを甘味としておとす。砂糖はじきにとけ、小さな花が浮かぶ。」

なんか、目と鼻に優しい感じですよね(笑
by kobaso | 2011-02-11 23:34 | 読書小話

鳥写真追記

takaさんのブログ
より一層カモの可愛さが引き立ちます。
欲しい。
あと、チュウヒのハンティングはほんとうに圧巻でした。
by kobaso | 2011-02-08 23:19 | 写真小話

花よりもなほ

いろんなことがうまくいかないときは、少しぱっと現実逃避をするのが良くて、
今日もテスト前にもかかわらずDVDを観てしまいました(笑

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「時は元禄15年、今を溯ること300年。仇討ちに藩が賞金を出していた時代。主人公は、父の仇討のために信州松本から出てきた若い武士、青木宗左衛門。広い江戸で父の仇を探すこの男、じつは剣の腕がからきしダメときた。貧しいながらも人情あふるる長屋で半年暮らすうち、あろうことか「仇討しない人生」もあると知ってしまった!はたして宗左衛門、仇討ちするしかないのか??」(オフィシャルホームページ introduction より)

是枝監督の作る映画、僕は好きなのですが、
この「花よりもなほ」は、何となく本を読んだ時に映画を観るのを敬遠していました。
いや、本は面白くて、是枝さんの描く世界、本当に好きだなと思っていたのですが、
「誰も知らない」とか、「歩いても歩いても」とかの今まで観てきた是枝さんらしい映画、現実味をひしひしと伝えてきてくれるような映画を観ることができないんじゃないかと思ってしまっていました。
お芝居みたいに観えてしまうのが怖かったのかな。

でも、そんなことはなかった。
観て良かった。面白い。お芝居らしさも含めて。

「自分らしく生きなさい」って、一時すごく盛んに言われたじゃないですか、もしかしたら今も言われているのかもしれないけれど。
でもそうではなくて、生きていれば自然に自分らしい生き方になるし、それはそれでいいんじゃないかと、
良くも悪くもそれでいいんじゃないかと、認めてくれるような、許してくれるような映画でした。

友人が言ってた言葉を思い出したのですが、
是枝さんの映画、なんというか、極悪人がいないんです。
映画に出てくる登場人物は、どこまでも人間そのもの。
あと、皆何かしら迷っていて、つらそうな側面がある。
でも、それだけじゃなくて、その人の幸福感も、憎しみも、見栄も、いろんな側面を感じさせてくれる。
見せるわけじゃなくて、空気で感じさせている気がします。
そこが、好き。

是枝さんの映画を観ていると、台詞にしても、表情にしても、何度もハッとするところが出てきて、
威力のあるジャブを何度も受けている感じ。
そこが、好き。

是枝さんが描く世界なら、
それがたとえどんな時代であっても、どんな背景であっても、
それは是枝さんの色んな映画に出てくる、是枝さんの世界観で、
面白くならないわけなんて、ありませんでした。




…でも、ひとつ言うとしたら、
汚い香川照之を見るとどうしても岩崎弥太郎とかぶってしまって…。
好きなんですけどね、香川照之。
by kobaso | 2011-02-06 11:48 | 映画小話