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夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない

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夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない / 宮崎夏次系 作 / 講談社 モーニングKC

ここ」から第一話だけ試し読みできます。

(以下、第一話のネタバレちょっと含みます)

漫画、あまり読まずに生きてきました。
ここ数年で、ようやく「テルマエ・ロマエ」とか「3月のライオン」とか、そういう漫画を読むようになってきましたが、小さい頃はまったくと言っていいほど漫画に触れずに過ごしていて、友人たちがワンピースとかナルトとかの話題で盛り上がっている中、ひとり、芥川龍之介全集とか八甲田山死の彷徨とかを読んでいました。嫌なガキやで。

漫画、あんまし読んだことがないので感想をどう書けばいいのかわからないのですが、でも、書きたいと思えるくらい、この漫画、良かった。すごく良かった。
話としてはシリアスな内容が多い。たとえば、第一話「明日も触らないね」の初めの方のコマで、
『好きなものは世の中にいっこでいい 失くしたらおしまい そんな感じの だってさ 大切なものに代えがあるのはさみしいから』
みたいなセリフ(セリフ?)が出てきたりする。
「さみしいから」って部分がとても寂しい気がする。作者、「大抵のものには代えがある」ってことに気付いてしまっている人なんだろうな。って勝手に思いました。さみしいんだな、この人。さみしいよなあ。
でも、単にこの調子で続いていたら、ただの暗黒時代中学生日記みたいになっちゃうんだけれど、この調子じゃないんです。このセリフのちょっと前のコマで、駅のホームに電車が入ってくるシーンがあるんだけれど、そのコマで使われている擬音語が、「ポコチンポコチン」なんです。
「ポコチンポコチン」ってあなた…。ポコチンポコチンの後に「好きなものは世の中に…」ってあなた…。
すごくいい。
コマの随所に「乳」とか「舌」とか「脇の下舐めたい」とかそんな感じのやつが出てくるにも関わらず、進んでいくストーリーはすっごく重い。すごくいい。

読んでいるうちに頭の中にマンボウが浮かんでいました。
数億個の卵を産んでそのうち数匹が生き残るという過酷な生存戦略をとるマンボウ。
「すぐ死ぬ」だの「弱い」だの「のろま」だの好き放題言われるマンボウ。
それに対してちょっと怒ったような顔をしているマンボウ。
そして何といってもその体泳ぎにくそうだぞマンボウ。
生きにくいだろうマンボウ。この漫画も生きるの苦手そうだぞマンボウ。
生きるの得意な人なんているのかなマンボウ。生きるの苦手な人ならきっとこの漫画好きなはずだよマンボウ。
すごく嫌なことがあったら、なるべく馬鹿みたいなことを考えて嫌なこと忘れようとして、けどやっぱり小さなことでも悩んじゃって、まあでも、そんなもんだよね、あはは。
みたいなね。

あと、僕、唐突に鼻血が出てくることよくあるんだけれど、この漫画の中でも登場人物たちはよく唐突に鼻血を出していて、親近感がわきました。

もう冬ですね。指のささくれにミカンの汁がしみる季節です。
あたたかくして過ごしましょうね。
by kobaso | 2014-11-21 23:54 | 読書小話