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コドモノセカイ

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コドモノセカイ / 岸本佐知子 編訳/ 河出書房新社

『さっき、みんながわたしに教えられることはもう何もないって言ったでしょう。そのとおりなのかも。わたしはあなたたち一人ひとりから、この世界に本で知って、本で探検できないことは一つもないことを教わった ー ただ一つ、世界を除いては』


僕は子どもも好きだけれど、
それ以上に子ども時代が好きです。

まだ自分が何者なのかもわからずに、
不安も嫌悪も安らぎも喜びも
目まぐるしいくらいに頭の中を駆け巡る時代。
まだ社会の何たるかを知らず、自由な妄想が頭を駆け巡る時代。
とか言って、大人になった今でも社会の何たるかなんて、わからないけどね。
でも、馬鹿馬鹿しいまでに妄想は自由で、今以上にひとりあそびが得意だった。

自転車に乗って生け垣すれすれを全速力で飛ばして、ひとりスターウォーズごっこもできたし、
水槽を眺めて水中に潜ることもできた。
戦国武将にだってなれたし、
野球選手になって大活躍もできた。

勝手に自分の決めた世界で暴れまわれた。
なにもかも、自分の都合の良いように。

澄まし顔で学校の授業を受けながら、
頭の中はそんなことばかりでした。

歳を重ねて、ひとりあそびが少し苦手になりました。
まだ妄想で遊ぶこともあるけれど、
長くその中に留まれない。
本の力を借りないと、現実以外の世界を作れなくなった。

仕事もね、大人ばかりを相手にしていると、
子どもが使う本を作る仕事をしているということを忘れがちになる。
出張先で、髪の毛を真っ茶色に染めた子や、まじめそうに挨拶する子を目にすると、はっとします。
この子たちの頭の中には、どんな風景があるのだろう。

by kobaso | 2015-11-28 16:35

短歌と言えば短歌

蟻地獄の罠にかかる蟻は月に一匹らしい可哀想と君は言う。蟻が?蟻地獄が?



カレーの味ってその人の家庭が見えるよねと語る人のスプーンの上にはボンカレー



たらこ唇の人が死に瀕しているのを見てふと「これはナマコ唇だ」と思った罪で無期懲役



宇宙空間を英訳したらスペーススペースになるのかな?って君が聞く放課後



手紙を待ってもこないからきっとあの人はヤギ 白いヤギ



ことば遣いが汚い人は嫌いだと言うひとが放つ「おまえ」



朝目覚めたら虫になっていた 名前はまだない



息を吐けばしゅるしゅるとしぼむことのできる風船へのあこがれ



ひとり相撲の力士が土俵の中で踊っている 誰かが座布団を投げた



人の表情を見たくないときは皮の下の骨を想像しなさいと医者が言う



女子力たずねて三千里 ついに見つけたグルコサミン



壊れたアイボがごみ埋め立て場で目を覚ます ひとり



あんたは私の脇から産まれたのよと言って育てられたのが仏です

by kobaso | 2015-11-23 22:00 | 退屈小話

いつも同じ話

バルタン星人はザリガニ寄りかセミ寄りか。

トンボを捕まえる時に指をぐるぐるして捕まえるけれど、同じ方法でハエは捕まえられるのか。

ウォシュレットのビデ機能を試して悲惨なことになった男の人はどのくらいの割合で存在するのか。

カネゴンはお金の怪獣じゃなくて、どちらかと言うとシンバルの怪獣じゃないのか(見た目的に)。

妖怪ウォッチをアップルウォッチのようなものだと勘違いしていた人は日本にどのくらいいるのか。

ししゃもをお腹から食べると、お腹ゆるゆる体質が治ると信じていた男の子のはなし。

とかを話せる恋人が欲しいと思ったけれど、全然雰囲気が出そうにないから、インコでいい。インコがいい。



by kobaso | 2015-11-22 21:58 | 退屈小話

煙草

煙草を考えた人は、男の人だと思う。
煙を吸ったらおいしいかもしれないなんて考えるのは、たぶん男の人だ。
きっと、奥さんか誰かに「煙を嬉々として吸うなんて、ご近所さんに変な目で見られるからやめなさい!」とかなんとか言われながらも、すーはーすーはー煙を吸っていたに違いない。

男の人は、やめた方がいいとわかっていることを、無性にやりたがる傾向がある。

消しゴムを投げて窓ガラスを割ってみる。
ストーブの上で輪ゴムやら髪の毛やら焼いてみる。
飛ばなくてもいいところを飛んで怪我をする。

そういう生き物なので、男の人はなるべくその衝動を、平和な方向に昇華するのが義務だと思う。

僕は、エリンギを松茸だと子どもに教えて育てたい。

by kobaso | 2015-11-22 21:34 | 退屈小話

むし

「蟲」という字がこわい。
なんで3つも重ねたのか。
「木」がうっそうと茂っている様子を表すために「森」という字ができたとするなら、「蟲」はどんな様子を表すのか、想像に難くない。
しかも、「蟲」は「むし」と読む。
「虫」となんら変わりがない。有意性がない。
単に人々に、黒々とした虫の集団が迫ってくる様子を想像させて、ぞわっとさせるために生まれた漢字。
数の暴力。
おそろしい。

by kobaso | 2015-11-22 21:21 | 退屈小話

子供はわかってあげない

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子供はわかってあげない / 田島列島 /講談社

中学のころ、よく電話をする友人がいた。
別に何の用事もなく話すうえに、僕もその友人も口下手なので、
5分間ただぼんやりと無言で携帯を耳にくっつけてるだけなんていうのも、ざらにあった。
ただその友人は少し独特な思考をする人で、
思春期真っ只中の男子ふたりの会話なのに、女の人の話は全くでてこなかった。
話す内容といえば、
「自分自身以外の人間は、本当に思考して動いているのか(自我があるのか)?」とか、そういう、哲学的だけれど、中学生じみた、
ちょっとどこかが無図痒くなることばかりだった。

20になった人に、20になって何か変わったかと聞くと、
大抵、なにも変わってないと言う。
30になった人に、30になって何か変わったかと聞いても、
同じく、何も変わってないと言う。

今、その友人に、
「あの時考えていたみたいなこと、今でも考えてしまう時があるか」って、聞いてみたい。
僕はたまに、無図痒くなるようなことを考えたり、
思ったりしてしまう。
でも、無図痒くなるから言わない。
たぶんきっと、いろんな人が、そうなんだとは思う。

本の中の人や、漫画の中の人は、
無図痒いことを、無図痒くなく、さらっと言ってしまうから、
すごくうらやましい。

この季節になると、訳もなく思案気味になるようになってしまって、ふとした時にまわりの人に、
「大丈夫か?元気か?」って心配されてしまうから、
なんだか申し訳なくなる今日この頃です。
くだらないことばかり考えて、
今日も元気に河童の川流れやってます。
ふと淋しくなったりもするけれど、そんなの社会はわかってあげない(言いたいだけ)。

by kobaso | 2015-11-22 20:13 | 読書小話