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贋作放浪記

まず始めに、これは私自身の話ではなく、友人の話であることをことわっておきます。
友人がブログに載せろとうるさく言うので載せたまでであって、
宿題に追われ日々奔走する割には何一つできていない私が、現実逃避のために書いたわけではありません。
断じてありません。
もう一度言います。断じてありません。

 話によると、彼はお昼ご飯のモスチーズバーガーを頬張りながらこう思ったそうだ。
 「何て良い天気なんだ。徘徊しよう。気のおもむくがままに自転車を走らせよう。」
彼は何かとさまよいたがるむきがある。さまよいたがるくせに、方向音痴なのだから困ったモノだ。
将来歳をとり、じじいになったときには、呆けて街を徘徊し、家に帰れなくなるに相違ないと私は思う。
家族が可愛そうである。もっとも、彼に家族が出来るかどうかは甚だ疑問であるが。
 モスチーズバーガーをその小さい胃袋に詰め込んだ彼は、母親に
 「旅に出る。17時頃には帰ってくる。」
とだけ言って、家を出た。
母親は彼が家を出るとすぐに玄関の鍵を閉めた。別に怒っていたわけではない。
 まず彼は、母校であるK高校へと自転車を走らせた。
田園の中を風を切りながら走るのは久しぶりであった。
彼の頭には、若かりし頃の思ひ出がよみがえっていた。
毎朝この辺で自転車のチェーンが外れたなとか、
この田んぼに落ちたなとか、
この辺で7時15分に間に合うかどうか焦っていたなとか、
・・・。
なんか書くのが面倒になってきたので、手短に話します。
高校に着いた彼は、夏休みにも関わらず校内からぞろぞろと出てくる高校生の大群に恐れをなし、
とりあえず荒神山へ避難し、
頂上の神社で滋賀の安泰を願って、社の牛の像をなでなでしながら
 「私はどこへ向かうべきでしょうか。」
と尋ねたところ、
 「南へ行きんしゃい。」
というありがたいお言葉が返ってきたので、
山を駆け下り、自転車にまたがり、とりあえず近江八幡を目指して走り出したそうです。
稲枝の○我氏のマンションを素通りし、
能登川の、昔としさんが入院していた病院を脇目にまた思い出にふけり、
安土国に入国したところで、母親から
 「はよ帰って来。」
という命令がきたので、それ以上の南下を断念。
代わりに安土国を少し探検してから帰ることにしたそうな。
安土国は滋賀県にありながら独立を保っている国で、
そこに住む人を安土国民というそうです。実際に安土に住んでいる何人かからこの証言を聞きましたので、
おそらく本当なのだと思います。
彼は、一度安土国を徘徊したことがあるものの、そのときは安土国に「おんかかかぼじまえそわか」という呪文があることを学んだだけで、
未だに不思議の国として認識していました。
ただ、「安土国には悪い人はいない」ということは経験上知っていたようです。
 安土国に入国した彼が先ず目にしたものは、池のアヒルだったそうです。
 「白鳥ではなくアヒルであることが安土国民のセンスの良さを物語っている。」
と彼は話していました。
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 アヒルに癒された彼は、さらに奥地へと進みます。
しばらく進むうちに、彼は異界への扉を発見したようです。
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 「この扉を開ければ静岡に行けるのかもしれない。いや、行けないはずはない。」
と考えましたが、静岡はいま地震でてんやわんやのはず。彼はその扉を開くことを諦めました。
少しがっかりした彼の目に、更に驚くべきものが飛び込んできました。おもわず「あいたたた」と言ってしまう程だったそうです。
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何故か南国風の木が1本だけ屹立しているではありませんか。
 「きっとこれは、南の島のその名も偉大なカメハメハ大王の生まれ変わりに違いない。なんでもありだな安土国。」
 安土国の魅力にすっかり虜になった彼が次に目にしたものは、この看板でした。
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滋賀にあった唯一の遊園地は、既につぶれたはず。
まさか安土国に隠れ遊園地があったとは。
入園しないわけにはいかんだろう。どこにある。どこだどこだ遊園地。
と、血眼で必死に彼は遊園地を探しましたが、あるのはお寺と田んぼばかり。
どうやら、心の綺麗な人にしか見えない遊園地のようです。
「なんてロマンティックなんだ安土国。くそう。もっと私が純粋であれば。」
と、心がどろんどろんに汚れきった彼は、悔やんだのでした。
改心せい。
そろそろ帰ろうと思い、自転車を彦根方面へ向けたのはいいのですが、
子ども達が「ダンゴムシいたー。」
とはしゃぐ声を聞いて、何を思ったのか、
「ようし。ダンゴムシみたいになってやる。」
と考えた彼は、曲がり道がある毎に、右、左、右とダンゴムシの習性を利用して帰り、
案の定道に迷って、
ぜいぜい言いながら家に着いたときには、
「早く散歩つれてけ。」と笑う飼い犬と、
大爆笑する自分のヒザに、
げんなりしていたとのことです。

さあ、この調子でレポート書こう。
by kobaso | 2009-08-11 22:04 | 退屈小話
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