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飼うこと。

先日、日比谷公園で開かれていたグローバルフェスタに、ボランティアとして参加しました。 ウミガメの色々な標本を展示しているところで、その解説をするボランティアでした。

そこに、小学校低学年くらいの男の子と、その子のお母さんが来られました。
男の子と話をしていると、凄く、その子がかめが好きなんだってことが伝わってきました。
そこで、そんなにカメが好きなら、家で飼ってたりするのかなと思って、聞いてみたんです。
『おうちで、何かカメ飼ってるの?』
って。

すると、お母さんがこう仰りました。

『広い自然の中にいるものを、小さい水槽に閉じ込めるのって、人間のエゴじゃないですか。だから、飼わないようにしてるんですよ。』

なんかね、確かにそうだと思うんですよ。
自分も、そんなことを考えたことがあります。自分の場合は主に魚なんですが、
魚を、自分が観ていたいがために管理するって、お前何様なんだって。
餌やりとか水替えとかしょっちゅうサボってたし。

でも、本当にそうなのかなとも、思うんですよ。
魚に、
『本当に水槽の中にいるの、嫌だと思ってる?』
って聞いたら、
もしかすると、
『いやー、外敵もいないし、ぬくぬくですよ。』
って答えるかもしれない。
ちゃんとごはんを与えられている魚なら、
『何もしなくてもごはん食べられて、案外、幸せっすよ。』
って答えるかもしれない。

まぁ、そうじゃないかもしれないんですけど。
結局、どっちも人間が考えた結果、そうだろうって判断を下すわけで、
どっちもエゴかもしれない。
まったく、人間て、どうしようもないなぁって、思うんです。

そんなことを考えられただけでも、飼ってみて良かったかなって思うんです。
水槽に閉じ込めることを理不尽だと感じたり、自分が結局は飼っている生き物を殺しているんだと気付いたり、人間の気持ちで魚について考えてしまっていることの違和感を感じたり、この手で、この目から考えた過程を含めて。

だから、お母さん、
こんな子どももいない青二才が言うのもおこがましい話なんですが、
そんな決めつけずに、カメ、飼わせてあげてもいいかもしれませんよ。損は、しないかもしれませんよ。
って考えをまとめるのに数日かかって、
結局、その場では「へぇ、そうなんですかぁ。」とか何とか、適当なことしか言えませんでした。
まったく、自分って、どうしようもないなぁ。
by kobaso | 2010-10-08 23:29 | 退屈小話
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