春に思うこと

大学のサークルの先輩から、手紙が届いた。
実習で南の国々に行っている。もうすぐ日本に帰ってくるはずだけれど。
手紙には、パラオでタイマイの鼈甲が売られていて驚いたり、カメの混獲防止魚網の論文を知っている人がいて嬉しかったということが書いてあった。先輩らしいなと思う。カメのことばかり書いてあるのは、サークル宛ての手紙だからではなく、たぶん、先輩なら誰にでも同じようなことを書くんだろうなと思う。そんなことを思うと、先輩がひどく懐かしくなった。
同時に、パラオに、自分の知っている先輩がいることが不思議に思えた。

大学の友人から、電話が来た。
ノルウェーに旅行している。僕も一緒に行きたかったけれど、お金がなかった。
昨日ブリザードに見舞われてホテルまでの道に迷ったけれど、現地の人に道を教えてもらえたということを、笑顔で話していた(電話で笑顔というのもおかしいけれど、絶対笑顔です)。
ふと空を見上げると、オーロラが見えたらしい。そして、気付くと消えていたらしい。うすい虹みたいなものなのかなと、勝手に思う。
今、港の見えるホテルから外を眺めているという。海には白黒のカモがいる。空は白とも黒ともいえない灰色で、すぐに天気が変わる。風が強く、海が少し荒れている。
部屋には、昨日のブリザードのせいで濡れてしまった手袋やコートを乾かしてある。雪の港を、ホテルの窓から友人がぼーっと眺めている。頭の中に、行ったこともないノルウェーと、よく知る友人の姿が思い描かれて、不思議な気分になる。なんとなく、風邪をひいてぼうっとした心地で見るような、浅い夢に似た感じがする。

僕は30人ほどが乗れる小さな船に乗っていた。
狭い船内でみんなと一緒に勉強する。朝の4時ごろに定置網の引き上げに向かう。雨が降っていて、凍えそうになるほど寒い。下着とウィンドブレーカーだけで来ている友人がいて、その課業を終えた後に馬鹿だねと言って一緒に笑う。自由時間は身体がすっぽりと入るくらいの、小さなベッドで眠る。部屋は4人部屋だけれど、4人入るともう身動きができないくらいになる。無性に1人になりたくなるけれど、船では1人ということはあり得ないので、せめてベッドで横になる。4人とも、少しだけ各々の世界に入る。なんとなく悲しくなる。
ちっぽけな経験だなと思う。でも嫌いではないなとも思う。また行こうとも思う。

今年は海外に行きたい。1ヶ月くらい。
意味もなくカナダに行きたい。勉強に行くわけではなく、観光しに行くわけでもなく、景色や人を眺めに行きたい。
でも、すぐには行けないので、とりあえず明日は古本屋巡りに行こう。
勉強に行くわけでもなく、観光に行くわけでもなく、ただ本の背表紙を眺めたりしに行こうと思う。
やっぱり、ちっぽけだなと思う。でも、それでいいやとも思う。

でも、海外へは行こう。何しに行くわけでもなく。
お金、ためないと。
by kobaso | 2011-03-08 01:13 | 退屈小話
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