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ともだちは海のにおい

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ともだちは海のにおい
工藤直子 絵:長新太
理論社

イルカ「さびしいくらいしずかだと、コドクがすきなぼくでも、だれかとお茶を飲みたくなる。」
クジラ「さびしいくらいしずかだと、コドクがすきなぼくでも、だれかとビールを飲みたくなる。」

ぼーっと本棚を眺めていると、不意にとても懐かしい気持ちになって、十数年ぶりにしっかり読み直してみました。
小学校の頃は、ほとんど本を読んでいなかったのですが、この本はとても好きだった記憶があります。一番最初に読んだ小説かな。
ビールと本が大好きで、ちょっと不器用だけれどすごくおおらかな心のクジラと、お茶と体操が大好きで、少し甘えん坊な愛嬌のあるイルカのお話。
ふたりはとても仲良しで、なんとなくお互いの考えていることがわかったり、どちらかにお嫁さんができると、こころから祝福したりする。とてもあたたかいお話。
クジラとイルカの交流がとても微笑ましくて、読んでいると、とても心地よい気分になります。ちっとも泳げずに、水に対してとても恐怖心を持っている僕ですが、海に対してなんとなく穏やかな良いイメージを持てているのは、この本のおかげかなと思います。

微笑ましいだけでなくて、昔よりは成長した今だからわかるんじゃないかなと思うような「どきっ」とすることも書いてあって、今の自分が読んでもとても楽しめました。
あと、実は「クジラはもとは陸の生き物で」とか、「大陸を渡っている蝶が」とか、けっこう生物の知識も書いてあったり。昔は全然そんなところに目も着けなかったけれど。

昔、自分がこの本を読んだ時の感想文のようなものを読みたくなりました。きっと書いてるんだよね。書いた記憶はあるんだけれど、たぶん捨てただろうな。今となっては、クジラみたいな人になりたいな(もしくは友達になりたいな)と思っていた記憶しかありません。
今も大して感想は変わらないかもしれないけれど(笑
スヌーピーだとか、ムーミンだとか、プーさんだとか、小さな頃に観たり読んだりして記憶に残っている大切な童話のようなものは人それぞれにあると思いますが、僕の場合は、この「ともだちは海のにおい」です。
今通っている大学なら、この本知ってる人もいるのかな。いてくれると嬉しいな。

「わかったみたい」
「わかったみたい?」
「うん、椅子がひとつ、ある」
「いす?」
「そう、だれもすわっていない椅子。からっぽの椅子。」
「ははあ、からっぽ……」
「な、だからだよ……………」
by kobaso | 2011-10-06 01:51 | 読書小話
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