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本の逆襲 ①

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本の逆襲 / 内沼晋太郎 / 朝日出版社

本のデジタル化に伴う印刷会社の利益減や書店の減少、雑誌の売れ行き低下など、「出版不況」と言われる今の時代の「本」のあり方について考えられた本。著者は下北沢のB&Bを経営したりしておられる内沼さん。
B&Bには一度友人と行ったけれど、その時はビール飲まなかったな。封筒に入った文庫本が印象的でした。

本が好きだと公言しながらも、本が作られてから読者に渡るまでの流れを知ったのは、就職活動を始めてからでした。
そんな人間でも、無事に就職活動を終えて「本」に関わる仕事に就くことになりました。
今の時点で「本」について思うことをつらつらと書きたいと思います。きっと数年後に読み返したら恥ずかしくて消えたくなるんだろうな。

「本の逆襲」のなかでも書いてあるけれど、出版業界は特殊な仕組みができていて、出版社→取次(商社)→書店という流れで基本的にはまわっています。日本には出版社が約3700社、取次が26社(内2社で8割のシェア)、書店が約14,000社存在しています。会社数でいくと圧倒的に取次が少ないけれど、どの書店に何冊その本を流すかみたいなものを決めているのは取次で、特に大手の2社が出版業界において圧倒的な力を持っています。
ざっくり言ってしまうと、毎日毎日膨大な数の新刊が書店に届くのは取次のおかげです。取次が存在するおかげで、書店はいちいち、どこそこの新刊を何部入れるかみたいなことを決めなくていい。本は自動的にやってきます。そんなことしてたら本屋さんが欲しくない本まで送られてきて、大変…。って思っちゃうけれど、委託販売制度というのがあって、売れ残った本は出版社に返品することができる仕組みになっています。

なんだか仕組みについて書くとつまらなくなっちゃうね。
出版業界に大きく貢献している取次ですが、その力の大きさ故か、批判もたくさんうけているようです。
「大きな書店を優遇して、小さな書店に売れる本を配本していない」のような。
けれど、その批判はいささか的を外しているように僕には思えます。
大型書店と街の小さな本屋さんで同じ「売れる本」を売ったところで、小さな本屋さんに勝ち目があるかというと、怪しいんじゃないかと思えてしまうんです。わざわざ小さな本屋さんに「売れている本」を探しに行く人がどれほどいるでしょうか。「売れている本」を扱うということは、大型書店と似たような本を扱うということです。似たような本しか置いていないのなら、品揃えの豊富な大型書店に人が流れるのは必然でしょう。
問題は、「小さな本屋さんの特色が出せるような配本ができない」ことに問題があるのではないのかと思います。
小さな本屋さんが大型書店に勝つには、その店の色を打ち出す必要があるのではないでしょうか。
B&Bのような、「ビール飲みながら本みられます」みたいな本屋じゃないにしても、その本屋の店主がキノコ好きなら、キノコの本を豊富に品揃えするとか、近くに海の大学があるなら、海の本を中心に品揃えするとか、そういうことができるとかなり違ってくるんじゃないかと思うんです。
小さな本屋さん一軒一軒の店舗状況・希望を把握して丁寧に配本できるような仕組みを取次は構築するべきだし、そういう強みをはっきりと出せるように書店側も工夫していくのがいいんじゃないかなと。
もうすでにそんなことはしているのかもしれないし、「言うは易し」で難しいことなのだろうと思うけれど。
取次大手の1つが、買い切り制(書店が欲しい本を欲しい分だけ発注する制度)を始めたようなので、また変わってくるのかもしれません。買い切り制をすすめると、取次の存在意義が薄まってしまう気もするのだけれど、そこは取次の情報量と今までのノウハウでカバーしていくのかな。

今の時点では、大型書店だけではなく、小さな書店までも「金太郎飴化」してしまっているのが、書店が潰れていく一つの原因なのかなという印象を抱いています。

なんか「本の逆襲」の内容とだいぶずれちゃった。
つづく
by kobaso | 2014-05-04 03:18 | 読書小話
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