「本の逆襲」には、書籍のデジタル化についても書かれています。
様々な選択肢が増えることで、「本」の将来が明るくなると筆者は述べています。 僕個人としてはどちらかというと、デジタルの本よりも、紙媒体の本が好きです。 そこに大それた理由はありません。単に紙の質感が好きだとか、本棚に並べられた本を眺めるのが好きだとか、人の読んでいる本のタイトルを盗み見るのが好きだとか、そんな理由です。 紙の本が駆逐されないのであれば(駆逐されないと思っている)、デジタルの本が増えていっても、構わないと思っています。 ただ、デジタル化する必要性がいまひとつわからない「本」があります。 それが、学校で使われる教科書・教材です。 デジタル黒板やデジタル資料集はわかります。 黒板が電子化すれば、今よりずっと授業の幅は広がるだろうし、チョークの粉による喘息みたいなものだって防げるかもしれない。 資料集は、そもそもが「資料」を載せるものなので、デジタル化することによってより豊富な量の資料を載せることができるでしょう。なかなか図などで理解することができなかった化学や物理といったものも、資料集がデジタル化されることによってずいぶんと変わるかもしれない。 しかし、教科書をあえて電子化する必要はあるのでしょうか。 教科書を電子化するということは、kindleのようなハードウェアに、全教科の教科書を入れるということになるのかと思います。 確かに、そうすれば馬鹿みたいに重たいランドセルを背負う必要もなくなります。 けれど、メリットよりもデメリットの方が大きいように、僕には思えてしまいます。 もし生徒が、ハードウェアを忘れてきてしまったら、その生徒は一日教科書がない状態で授業を受けなければなりません。ハードウェアのバッテリーが切れてしまった場合も然りです。 紙の教科書はよほどのことをしなければ壊れませんが、ハードウェアは子どもたちの雑な扱いを受ければ壊れてしまうでしょう(特に僕のようなずぼらな奴に使われた場合)。 教材はどうでしょう。 宿題として出されるワーク。 「ワークが電子化されれば、学校の先生のチェック(宿題をやったかどうかの確認)が楽になる。」という意見があります。 「ワークの回答欄を埋めた」ということで評価するのであれば、確かにチェックは楽になるでしょう。 けれど、一度でも塾であれ学校であれ親であれ、子どもの学習指導をした人ならわかると思いますが、学習で大切なのは「解答」ではなくて「過程」です。 国語であれば、生徒自身が大切だと思った本文にしっかりと傍線なり印をつけられているか。選択問題を考えた形跡が残っているかどうか。 数学であれば、どのような途中計算が書かれているのか。自分自身で作図ができているか。 その「過程」をチェックするにあたっては、圧倒的に紙媒体のほうが優れていると、僕には思えてなりません。 少なくとも、今の日本の教育で、教科書・教材が電子化される必要性はないように思えます。必要となるとしたら、教育の形そのものが変わる時ではないかと思っています。 とはいえ、各教科書会社・教材会社はデジタル化に対応できるような策を練っておかないといけないのも事実なのでしょうが。 あれ…今日もまた「本の逆襲」の話とずれちゃいました。 ごめんなさい。えっと、無理やりまとめると、 「本」という存在のあり方について考えさせられる、良い本だと思います。おすすめです。
by kobaso
| 2014-05-04 21:33
| 読書小話
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