子供はわかってあげない / 田島列島 /講談社 中学のころ、よく電話をする友人がいた。 別に何の用事もなく話すうえに、僕もその友人も口下手なので、 5分間ただぼんやりと無言で携帯を耳にくっつけてるだけなんていうのも、ざらにあった。 ただその友人は少し独特な思考をする人で、 思春期真っ只中の男子ふたりの会話なのに、女の人の話は全くでてこなかった。 話す内容といえば、 「自分自身以外の人間は、本当に思考して動いているのか(自我があるのか)?」とか、そういう、哲学的だけれど、中学生じみた、 ちょっとどこかが無図痒くなることばかりだった。 20になった人に、20になって何か変わったかと聞くと、 大抵、なにも変わってないと言う。 30になった人に、30になって何か変わったかと聞いても、 同じく、何も変わってないと言う。 今、その友人に、 「あの時考えていたみたいなこと、今でも考えてしまう時があるか」って、聞いてみたい。 僕はたまに、無図痒くなるようなことを考えたり、 思ったりしてしまう。 でも、無図痒くなるから言わない。 たぶんきっと、いろんな人が、そうなんだとは思う。 本の中の人や、漫画の中の人は、 無図痒いことを、無図痒くなく、さらっと言ってしまうから、 すごくうらやましい。 この季節になると、訳もなく思案気味になるようになってしまって、ふとした時にまわりの人に、 「大丈夫か?元気か?」って心配されてしまうから、 なんだか申し訳なくなる今日この頃です。 くだらないことばかり考えて、 今日も元気に河童の川流れやってます。 ふと淋しくなったりもするけれど、そんなの社会はわかってあげない(言いたいだけ)。
by kobaso
| 2015-11-22 20:13
| 読書小話
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