![]() 『言葉を強要した - すまない。』 ずっと泣いてた。 一年前の夏に、友人と映画を観に行くことになって、何を観ようか迷ったときに、 この作品も候補の一つになってたけど、結局その時は「プリズナー」と「フルーベルト駅で」を観た。 よかった。この映画にしなくて。隣でずっと泣いててドン引きされるところだった。 コンピューターのOS(この映画では「実体はないけど、会話したり慰めたり励ましたりしてくれる女性」)に 恋をしてしまった男の人(セオドア)の話。きもいよね。確かにきもいなって思う時もあるんだ。 けど、僕もこのセオドアと同じようになる自信、あります(拳を握りしめて)。 セオドアの職業は手紙のゴーストライター。 依頼人の相手(手紙の受け取り手)が喜ぶような、感動するような言葉をつくる仕事。 なんというか、それがものすごく寂しかった。 誰かを喜ばせようとする言葉を作ってばかりいると、いつの間にか自分も人にそういう言葉を求めるようになってしまうものです。 でも、誰もセオドアにはそういう言葉をかけない。 いや、たぶんかけているんだろうけれど、少なくともセオドアはそれを受け取ることができていない。 それがたまらなく悲しかった。 OSから話しかけられる言葉の一つ一つに感動しているセオドアの表情が、 もうね、ほんとにね、 何とかしようよ。何とかしてあげようよ!キャサリン!なんでだよ!! けれどセオドアはちゃんとわかってる。 今まで僕は、無視が最大の暴力だと思ってたけど、 言葉を強要するのも、等しく暴力だったんだね。 はっとしました。 シルバーウィークですね。 どう過ごされますか。 僕は何も予定がないけれど、意味もなく海に行こうかなと思っております。 ▲
by kobaso
| 2015-09-19 01:06
| 映画小話
![]() 「もうほとんど意地じゃん」 こんばんは。人によっておはようございます。 たまに意味もなく眠れなくなる日ってありませんか。僕にはあります。 さっきまですごい雨が降っていたのだけれど、そういえば今年の夏はあまり夕立が降らないね。 東京ではあまり嗅ぐことができないけれど、滋賀みたいな田舎だと、 夕立の後には、雑草の青臭い匂いがむんわり漂って、僕はその匂いが結構好きでした。 あと、夕立を降らせる雲は積乱雲だから、雲の境目がすごくわかりやすくて、 あっちの方では降ってないんだなーとか、意味もなく空を見て雲の境目を探すのが好きだった。 思えば高校時代、そんな意味もないことばかり、ぼんやりとしていたな。 雲と言えば、暗澹とした嵐の海に、入道雲の浮かぶ青空の形をした大きな鳩が羽ばたいている絵が好きでした。 マグリットの「大家族」っていう絵。高校の時に、美術の教科書で見た絵。 先日、京都に行ったときに、友人に連れられてマグリット展に行きました。 僕は芸術を解する豊かな心は持ち合わせていないので、マグリットの意図するところの大半はわからなかったけれど、 それでも、昼の景色と夜の景色とか、嵐の空と青空とか、対照的なものを違和感なくひとつの絵に表わしている作品は、やっぱりすごく好きだった。 対照的なもの同士の境目はしっかりとあるのに、その境目がわからなくなる。 昼の絵なのか、夜の絵なのか。嵐の絵なのか、青空の絵なのか。それもわからなくなる。 これたぶん、高校生の時にも思ったんだけれど、 結局、受け取り手の解釈次第で、どんな絵にだってなる。 その人が「これは青空の絵だ」と思えば青空の絵になるし、 「これは嵐の絵だ」と思えば嵐の絵になる。 そこに青空も嵐も存在するという事実は変わらないけれど、 認識は自由に変えることができる。 ずいぶんと都合のいい話だけれど、人間そういう生き物で、認識を自由に変えていかないと うまく生きていけないことがたくさんある。 けれど、頑なにその絵が青空の絵だと思いこんでいると、青空の景色にしか目がいかなくなって、 鳩の形が見えなくなってくる。 ひとつの認識に縋ろうとしたときに、海街diaryの佳乃が幸姉に向かって怒りながら言う。 「ほとんど意地じゃん」って。 いつの間にか意地はってしまうことってありませんか。 僕にはたくさんあります。人間って不思議。 ▲
by kobaso
| 2015-08-17 02:51
| 映画小話
ジヌよさらば(youtubeにとびます)
松田龍平と大人計画がタッグを組むだなんて、面白くないはずがない!観ねば観ねばと思っているうちに機会を逃し、今日ようやく観ることができました。 お話としては、お金アレルギーの男(松田龍平)が限界集落にやってきて、お金を使わない生活をしながら、すったもんだするお話。 キャストは大人計画以外に松たか子とか二階堂ふみとか西田敏行とか超豪華だし、お話もすごく面白い(笑える)のに、ネット見る限りあんまし評価高くない。なんでだろう。 松田龍平のひょろひょろ具合もすごく好きだったけれど、 個人的に一番面白かったのは片桐はいりの顔でした(失礼)。 あと、すごくいいことを言っているんだけど、それってちょっと考えると普通だよなっていう、名言みたいなセリフが多い。 「大抵のことはなんとかなる。思い通りにはいかないけど」 とかね。すごいいいこと言うなあって思ったけど、普通だよね。 そういうのがいいんだ。 DVDになったらもう一回観たいな。 6月には海街Diaryも公開になって、今年の映画は楽しそう。 でも社会人になってしまって、すごく高いんですよね。チケット代。 なんでレディスデイはあるのにメンズデイはないんだろう。女装しろってことかな。 金色習慣が目と鼻の先ですね。 明日もお仕事やら学業やら家事やらなんやら頑張りましょう。 ▲
by kobaso
| 2015-04-29 22:36
| 映画小話
![]() 永遠の0 『あの人こそ「生き残るべき人」だったんだ』 ちょっと堅いレビューになるかもしれません。 本当は終戦記念日の日にこの下に書く「その日東京駅五時二十五分発」をアップしようと思っていたのだけれど、父親が同じことをしていたのでやめました。 原作のレビューが書かれています。 純粋に映画として面白い映画でした。ストーリー展開も、構成も。 冒頭部分を見た時に、「こんなラストシーンだったら嫌だな」と想像していたものと全く同じラストシーンであったことと、見方によっては若干美化されてしまっているようなところがあることを除いては。 ここ数年、なんとなく騒がしくなって、戦争を肯定的に捉える意見をちらほらと耳にします。 幸か不幸か、まだ僕はそういう意見を持った人としっかりと話をしたことがありません。 ただ、いささか乱暴な意見が耳に入ってくるようになったそのことに、若干の嫌悪感と共にこわさを感じてもいます。 「死にたい」という欲望といっていいのか、感情のようなものはきっとどの時代のどんな人にも共通してある。けれど、それに抗うように「生きたい」という感情もまたあって。今この時代では、そのせめぎあいの中で、家族の存在だとか社会制度の仕組みがあって、なんとか、「生きたい」という感情が勝つことが多い。 「死にたい」と「生きたい」の闘いのなかで、「誰かを守るため」という理由で個人的に死が肯定されて、死ぬことを英雄視することで社会的に死が肯定されてしまう事態は、とてつもなく恐ろしいことなんだと思っています。 「死ぬのならば誰かの役に立って死にたい」という感情が自分に無いというと嘘になるし、「死にたい」とふとした時に思ってしまう瞬間がないというとそれも嘘になる。だからこそ、それは恐ろしい事態だと思います。 『あの人こそ「生き残るべき人」だったんだ』 この台詞に、尾を引くような違和感を感じてしまいました。 戦争の中であっても「死ぬべき人」がいないのと同じように、「生き残るべき人」だっていないはずなのに。 ![]() その日東京駅五時二十五分発 / 西川美和 / 新潮社 『まるで実感がわかないのである。実感がわかないから、心配する気持ちにも、芯がない。(中略)ぼくの心は、壊れているのか。』 永遠の0のような、壮絶な死みたいな話は、(直接的には)出てこない。壮絶な死だけが「死」なわけでもない。 この本の主人公は、終戦の玉音放送の前に部隊解散を告げられた通信兵。自分は戦争が終わったことを知っているけれど、周囲はまだ戦争を続けている宙ぶらりんな状態。故郷の広島に原爆が落ちたことは知っているけれど、直接目で確かめたわけでもない宙ぶらりんな状態。 その主人公の宙ぶらりんさが、僕たちの世代に(あるいは親の世代に)不思議と似ている気がしました。 戦争や原爆の話は聞いているし、その爪痕だって知っている。テレビをつければどこかの地域で今も戦争や紛争をしているニュースが流れる。けれど、当然、実感はわかない。 知っているようで知らず、近いようで遠い、宙ぶらりんな状態。 けれど、戦争に対する言いようのない嫌悪感みたいなものは、持っている(人が多い…はず…)。 もうあと数10年もすれば、戦争についての実体験を語ってくれる人はほとんどいなくなってしまうはずで、たぶん、これからはその実感のわかない宙ぶらりんな状態で「戦争に対する言いようのない嫌悪感」みたいなものを、どうやってつなげていくかが大切になっていくんじゃないかなぁと思います。 第二次世界大戦が終わって、まだ100年も経ってないのにね。 ▲
by kobaso
| 2014-09-06 01:41
| 映画小話
![]() 『人は亡くなると、天国の入口でこういわれます。「あなたの人生の中から大切な思い出をひとつだけ選んで下さい」天国に行くまでの7日間で、死者たちは人生最良の思い出を選択するように迫られ、それを職員が再現して映画に撮影し、最終日には上映会が開かれるのである。そこで死者たちは改めて自分の一生を振り返る。懐かしさにひたり、後悔したり、思い悩んだ末に彼らが選んだ思い出は……』(小説ワンダフルライフ 裏表紙より) 邦画なら是枝監督の作品が好きなのですが、なかでもこの作品は自分の一番好きな映画のひとつです。 先日「朗らかな映画」について話をしていた時にこの映画の話が出て、また観たくなりました。 僕がこのお話を知ったのは小説が最初で、中学生のころに「小説ワンダフルライフ」を読みました。その時は是枝裕和が映画監督だってことすら知らなかった。小説も面白いです。 是枝監督の初期作品には暗くて重いお話が多いのだけれど、この映画は明るい(と思う)。 このお話の設定では、人は死んだらひとつだけ思い出をあの世に持っていくことができて、その思い出をずっと抱きながら眠る。 作中では、登場人物があの世に持っていきたい思い出を色々と語るのだけれど、ほとんどが役者さん自身が選んだ本当の思い出を語ります。だから、その思い出を語る役者さんの顔がとても活き活きとしています。 是枝監督は子どもの可愛らしさを撮る天才だと思うけれど、この作品の場合はおばあちゃんが可愛い。 特に「赤い靴」の思い出を選んだおばあちゃんが本当に可愛い。 ただ、主人公二人の演技がちょっとくさい(ARATAはこの映画が初出演)ところも確かにあるので、それがこの映画の評価が少し低い原因なのかな。 あの世で、ひとつの思い出を抱きながら眠るということについて、 伊勢谷(伊勢谷友介本人)みたいに、「そんなのは嫌」だと感じる人もいれば、山本さんのように「それじゃあ、そこは本当に天国なんですね」と感じる人もいる。僕はどちらかというと、山本さんの感じ方に近いな。そんなに何かを背負いこんでるわけではないけれど。 死後の世界を描いたお話というのはたくさんあるけれど、死んでから「全くの無」になるのは想像ができないし、生まれ変わりたいとも思わないし、ましてやこの世を魂だけが彷徨うなんて僕は嫌です。 ひとつの思い出の中でしか過ごせないなんて恐ろしいと感じる人がいるのもわかるけれど、僕は救われるような気持ちになるな。信じるなら、輪廻転生とかよりもこのお話を信じたい。 不謹慎ながら、今もし死んでしまったとして、自分はどんな思い出を持っていくのか考えてみるんだけれど、 高校時代、自転車に乗りながら田園から太陽が昇る風景を眺めている思い出とか、 冬の朝、誰もいない教室でストーブにあたりながら本を読んでいる思い出とか、 昼頃、実家のデッキで、飼っている柴犬をなでながらウトウトしているときの思い出とか、 夜の誰もいない水族館のイワシ大水槽の前で、寝転びながらぼーっとしているときの思い出とか、 幸せだけれどなんだか少し寂しくなる思い出しか浮かばないので、もう少し生きて、幸せで寂しくもならない思い出をつくらなければなと思ったり。 あと、年老いてから、自分の妻(いるのか?)や友人に、「思い出を一つ持っていくとしたら何を持っていくか」尋ねるのが夢だったりします。 この作品を観ると、思い出がとても美しいものに思えるのだけれど、思い出にとらわれ過ぎると生きることが難しくなったりもするね。この映画を観て救われる気持ちになる一方で、「思い出の中では生きられない」って感じる自分もいます。 ▲
by kobaso
| 2014-07-06 00:25
| 映画小話
![]() どうも自分の中でブームになる俳優がいるらしくて、前は堺雅人、ちょっと前は松田龍平、そして今は渡部篤郎にはまっています。渡部篤郎関連でこの映画を手に取りました。 「むかしむかし 円が世界で一番強かった頃、その街は移民であふれ、まるでいつかのゴールドラッシュのようだった。円を目当てに円を掘りに来る街。そんなこの街を移民たちはこう呼んだ。”円都(イェンタウン)”。でも日本人はこの名前を忌み嫌い、自分たちの街をそう呼ぶ移民たちを”円盗(イェンタウン)”と呼んで蔑んだ。ちょっとややこしいけどイェンタウンというのは、この街とこの街に群がる異邦人のこと。がんばって円を稼いで祖国に帰れば大金持ち。夢みたいな話だけど、何しろここは円の楽園…イェンタウン。そしてこれはイェンタウンに住むイェンタウンたちの物語。」 という冒頭で始まる。 主人公は円都で生まれた少女。その少女を取り巻く世界のお話。 お金でまわる世界もあれば、お金じゃないものでまわる世界もある。けれど、どっちの世界もお互いに重なり合って成立しているから、お金がなくても生きていけないし、お金じゃないものがなくても生きていけない。 お金じゃないものだけを追い求めていたらお金に足元をすくわれる。 お金は大事だし、お金は欲しいけれど、なんでだろうね、さっきから「お金」ってばかり書いていると虚しくなる。 「お金」じゃなくたって、「夢」だとか「愛」だとか、そんな言葉でも同じことなのかもしれません。 「お金」も「夢」も「愛」もいらないなんて言えない。「お金」は欲しいし、「夢」も、「愛」だって、欲しい。けれど、「欲しい」って思ったその直後に、何故だか虚しさがついてくる。この虚しさはどこから来るのかな。 フェイホンが好きでした。 人の夢を実現させることが自分の夢で、そのためなら何だってしてしまう。けれど現実的にそれが自身の身に報われることはなくて。自分でも「馬鹿だなぁ」ってきっと思ってるんだろうけれど、その「馬鹿」を貫く生き方しかわからないフェイホン。馬鹿だなあ。 渡部篤郎が若かったです。若かったというか、綺麗なお顔立ちでした。 「外事警察」の渡部篤郎とどっちが好きだろう。うーーーん。 ▲
by kobaso
| 2014-05-31 01:49
| 映画小話
![]() 「この映画はラブストーリーではない」 こんばんは。久しぶりの更新です。東京はまたもや大雪です。 さて、世間はバレンタインということで、珍しく恋愛ものの映画を。 小説にしても映画にしても、高校の頃は読まず嫌い(観ず嫌い)だったのですが、大学に入ってから、小説の方は川上弘美を、映画の方はアメリを皮切りに、ちょくちょくと観るようになりました(それでも映画はあまり見ないけれど)。 「500日のサマー」は、簡単に言うと、「愛」だの「運命」だのを信じて恋にひた走るトムと、あまりそういうことは考えない(考えたくない?)サマーのお話。 この映画で面白いなと思った部分は、時系列が、回想しているときみたいにバラバラになっているところ。「あーこの時はよかったなー」「この時辺りからおかしくなりはじめたのかなー」なんて、トムの悶々としている様子が伝わってきます。あと、世界共通で男ってあんまし、なんというか、賢くないね(笑 これは他の男の人が共感するかどうかはわからないんだけれど、自分を含め男の人って、人のことを好きになるとクヨクヨしますよね。具体的に言うと恥ずかしいのでやめときますけど(笑 そういう点で、トムにはたくさん共感してしまいました。 クヨクヨした男と、大胆な女の人だったら、そりゃあ女の人に引きずられてしまいますよね。結局男って、女の人の手のひらの上でコロコロ転がっておるのだなぁと。 男の人はあんまし賢くなくて…って話しでいくと、この映画の中に可愛げな少女がトムのアドバイザーみたいな感じで現れるんだけれど、彼女の言葉がとても、他のどんな男の人の言葉よりも核心をついていて、そんなところでも、女の人ってすごいんだなって思いました。 トムに共感できる部分がたくさんあった一方で、わからないのはサマー。ふとしたにサマーのことが分かりかける(例えば劇場で結婚するシーンを観て涙するところとか)んだけれど、やっぱり全然わからない。何を考えているのこの人は。映画の最後の方は「なんじゃこいつはあああああ」って連呼してました。ひとりで。 なんでこの人は公園のど真ん中で「ぺ○ス」って叫んで笑い転げてんの。いや、わからないところはそういうところじゃないんだけど。 サマーみたいな女の人の心の機敏がわかるようになったら、素敵な殿方になれるのでしょうか…。うーん。無理だなぁ。だれか解説してください。 あと、この映画のBGMがとても好きでした。モテキのBGMの洋楽版みたいにセンスが良い。いや、曲の良し悪しなんてわかんないんだけどね。好みです。 ▲
by kobaso
| 2014-02-14 22:55
| 映画小話
最近は映画を観る機会に恵まれて、「そして父になる」「恋の渦」「ヒミズ」「風立ちぬ」を観ました。
「そして父になる」はまたDVDになって、もう一度じっくりと観てから感想をまとめたいと思います。 「ヒミズ」はずどーんときて、感想が書けそうにないし、「風立ちぬ」はあんまし書くことがないような気がするので、今回は「恋の渦」の感想を書きたいと思います。 ![]() とある“部屋コン”に集合した男女9人。やって来た1人の女の子のビジュアルに男たちは全員がっかりする。何とか場を盛り上げようと頑張るも全くうまくいかず、微妙な空気を引きずったままコンパは終了した。しかしその夜から、恋心と下心、本音とうそが入り乱れる恋愛模様が展開していき……。 いわゆるDQN(不良など、"粗暴そうな風貌をしている者"や実際に"粗暴な者"、また"非常識で知識や知能が乏しい者"を指す 自分の身の回りの世界とは全く関わりのない世界のお話のようであるけれど、観ているうちにそう遠い世界のお話ではない気がしてくる、というよりもこれに似たようなこと、自分たちの世界にもあるんじゃないかなぁと思えてくる作品。 この映画は、前に1度この映画を見たことのある女友達のNさんに連れられて、男友達のY君(モテる)と一緒に観に行ったのだけれど、反応がばらばらで面白かった。 僕はこの映画をほぼコメディとして観ていて、たくさん笑ったりしながら、一般的な恋愛ってこんな感じで進むのかな。どんな恋愛でもやっぱり女の人怖いな。男は所詮コロコロされるしかないな。タカシ(好きな人と全然連絡が取れない哀れな人)の気持ちはなんか同情というか、共感するところあるなぁなどなど思いながら、楽しく映画を見終えたのですが、ふと隣のY君の顔を観ると、苦笑と苦渋が顔面に張り付いたような顔をしていて全然しゃべれない状況になっていました。やっとこさ、絞るようにして言った一言が「これは映画にするもんじゃない…。」でした。観ていて、おもしろいけれど、面白くない状況に陥ったようです。 それを観てNさんはニタニタ笑っていました。 僕はあまり映画の中の男の人たちの心情というか行動というかに共感できる部分は無かったのだけれど、他の男の人は違うようです。 どういうところに共感したとかはネタバレになってしまうから書けないのだけれど、笑って観ているうちに、映画の中に自分を見出す気分になってくるのだそうな。 家に帰ってから、NさんとY君と、家に遊びに来たAさんと映画の話やらなんやらをしているうちに、なぜ僕には彼女ができないのかという話になりました。どうやら僕の恋愛観というか女性観(?)は一般的な男の人と違っているのではないかということになってきました。 世の男性はふとした時に恋に落ちるらしいです。恋愛対象は女性全般。そこら中に恋愛対象がごろごろしているらしいんです。好きな人だってたくさんできるし、そのうちの誰かうまくいった人と付き合うのが普通なのだそうな。 僕は、うーん。。。女性全般が恋愛対象にはならないし、好きな人はいても多くて2人以上はできないし。。。「好き」に要求するレベルが高いのか…? 難しいなぁ。 いろいろ指摘された後、AさんとNさんは口をあわせてこう言いました。 「kobasoくんにはギラギラとムラムラが足りない!」 ギラギラとムラムラ、どこで売ってますか? ▲
by kobaso
| 2013-10-19 21:17
| 映画小話
![]() 黒澤明監督、スティーブン・スピルバーグ提供っていう、なんだかすごそうな感じがする映画(笑 短編映画がいくつも収録されています。どの話も、「こんな夢をみた」という、夏目漱石の夢十夜みたいな字幕から始まります。夢の中のお話。 幻想的な夢、ただ何の脈絡もなく異次元にトリップするような夢、悪夢、平和な夢など、まるで夢の宝箱です。悪夢にも色々あって、おどろおどろしい悪夢や、その人の後悔・苦痛に根ざした悪夢、日本滅亡みたいな途方もない悪夢など、いろんな夢があって、しかもその描写が絶妙に曖昧だったり現実離れしていて、見ていると本当に黒澤明の夢の中に入り込んでいるような気になります。 人の夢を覗いてみたいって、たまに思うけれど、悪夢はあんまり覗きたくないなあと思いました。夢だから何でもありで、次に何がでてくるのかゾクゾクしてしまって、まるでホラー映画を観ているような気分になりそう。怖い。実際、この映画の悪夢はまるでホラー映画のように観てしまいました。 「昨日みた夢の話をされてもつまらない」という人は多いけれど、僕はむしろそういう話が大好きです。だからかな。この映画、とても面白かった。「科学批判」みたいな描写もあったけれど、僕は純粋に、「夢の話」として観るのが面白かったです。 今日はどんな夢が見られるのかなあ。 ▲
by kobaso
| 2013-06-13 00:38
| 映画小話
![]() 1週間の特別休暇を得ることができる。死刑囚の死刑執行を執り行うことと引き換えに。 全体を通して、静かな映画。 映画みたいな小説ってあるけれど、これは小説みたいな映画。 死刑についての是否を問う作品にも見ようによっては見えるのかもしれないけれど、僕はそうは思いませんでした。 何を問うているわけでもなく、ただただ人が生きていく姿、死んでいく姿を映しているように、思えました。 死刑囚の金田(西島秀俊)は、まるで模範囚で大人しいけれど、そしてこの映画では映し出されないけれど、死刑になるほどの罪を犯しているんだよね。そして、そのことを悔いているのかどうかも判然としない。 彼は独房の中で、何を支えに生きていたんだろう。ただひたすらに絵を描いて、そこに何を見ていたんだろう。 金田がフェンスごしに、晴れた空を眩しそうに見上げる姿が、とても印象的でした。 ▲
by kobaso
| 2013-06-08 01:24
| 映画小話
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