「蟲」という字がこわい。
なんで3つも重ねたのか。 「木」がうっそうと茂っている様子を表すために「森」という字ができたとするなら、「蟲」はどんな様子を表すのか、想像に難くない。 しかも、「蟲」は「むし」と読む。 「虫」となんら変わりがない。有意性がない。 単に人々に、黒々とした虫の集団が迫ってくる様子を想像させて、ぞわっとさせるために生まれた漢字。 数の暴力。 おそろしい。
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by kobaso
| 2015-11-22 21:21
| 退屈小話
子供はわかってあげない / 田島列島 /講談社 中学のころ、よく電話をする友人がいた。 別に何の用事もなく話すうえに、僕もその友人も口下手なので、 5分間ただぼんやりと無言で携帯を耳にくっつけてるだけなんていうのも、ざらにあった。 ただその友人は少し独特な思考をする人で、 思春期真っ只中の男子ふたりの会話なのに、女の人の話は全くでてこなかった。 話す内容といえば、 「自分自身以外の人間は、本当に思考して動いているのか(自我があるのか)?」とか、そういう、哲学的だけれど、中学生じみた、 ちょっとどこかが無図痒くなることばかりだった。 20になった人に、20になって何か変わったかと聞くと、 大抵、なにも変わってないと言う。 30になった人に、30になって何か変わったかと聞いても、 同じく、何も変わってないと言う。 今、その友人に、 「あの時考えていたみたいなこと、今でも考えてしまう時があるか」って、聞いてみたい。 僕はたまに、無図痒くなるようなことを考えたり、 思ったりしてしまう。 でも、無図痒くなるから言わない。 たぶんきっと、いろんな人が、そうなんだとは思う。 本の中の人や、漫画の中の人は、 無図痒いことを、無図痒くなく、さらっと言ってしまうから、 すごくうらやましい。 この季節になると、訳もなく思案気味になるようになってしまって、ふとした時にまわりの人に、 「大丈夫か?元気か?」って心配されてしまうから、 なんだか申し訳なくなる今日この頃です。 くだらないことばかり考えて、 今日も元気に河童の川流れやってます。 ふと淋しくなったりもするけれど、そんなの社会はわかってあげない(言いたいだけ)。
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by kobaso
| 2015-11-22 20:13
| 読書小話
忘却のサチコ / 阿部潤 / 小学館 今まで僕の経験してきたストレスを10段階で表現すると、 ストレス7くらいまでなら、おいしいものでなんとかなる。 今日も、友人と行きたかった本屋さんのイベントに行って、 公園でぼんやりして、喫茶店でおいしいハンバーガーを食べて、 夜は日本酒のおいしいお店で飲んで、今とても幸せ。 人間は単純なものです。 このマンガの主人公はすごく魅力的。それは、ごはんをすごくおいしそうに食べるから。 今日友人に、「どういう人がタイプなの?」って聞かれてうまく 答えられなかった(いつもそう)んだけど、この漫画読んでわかった。 「おいしいものをおいしそうに食べる人」だ。 人の気持ちなんてわからないし、あてにならないものだけど、 おいしそうに食べる人の顔を見ると、「あ、信じたいな」って思うよね。 季節は秋。 今年は秋刀魚が不漁みたいだけど、キノコは豊作らしい。 キノコの炊き込みご飯がたべたい。 あと、大ぶりのキノコを、バターと醤油で炒めたやつ食べたい。 食べましょう。だれか。 #
by kobaso
| 2015-10-03 22:41
| 読書小話
『言葉を強要した - すまない。』 ずっと泣いてた。 一年前の夏に、友人と映画を観に行くことになって、何を観ようか迷ったときに、 この作品も候補の一つになってたけど、結局その時は「プリズナー」と「フルーベルト駅で」を観た。 よかった。この映画にしなくて。隣でずっと泣いててドン引きされるところだった。 コンピューターのOS(この映画では「実体はないけど、会話したり慰めたり励ましたりしてくれる女性」)に 恋をしてしまった男の人(セオドア)の話。きもいよね。確かにきもいなって思う時もあるんだ。 けど、僕もこのセオドアと同じようになる自信、あります(拳を握りしめて)。 セオドアの職業は手紙のゴーストライター。 依頼人の相手(手紙の受け取り手)が喜ぶような、感動するような言葉をつくる仕事。 なんというか、それがものすごく寂しかった。 誰かを喜ばせようとする言葉を作ってばかりいると、いつの間にか自分も人にそういう言葉を求めるようになってしまうものです。 でも、誰もセオドアにはそういう言葉をかけない。 いや、たぶんかけているんだろうけれど、少なくともセオドアはそれを受け取ることができていない。 それがたまらなく悲しかった。 OSから話しかけられる言葉の一つ一つに感動しているセオドアの表情が、 もうね、ほんとにね、 何とかしようよ。何とかしてあげようよ!キャサリン!なんでだよ!! けれどセオドアはちゃんとわかってる。 今まで僕は、無視が最大の暴力だと思ってたけど、 言葉を強要するのも、等しく暴力だったんだね。 はっとしました。 シルバーウィークですね。 どう過ごされますか。 僕は何も予定がないけれど、意味もなく海に行こうかなと思っております。 #
by kobaso
| 2015-09-19 01:06
| 映画小話
八つ墓村 / 横溝正史 /角川文庫 『八つ墓村というのは、鳥取県と岡山県の県境にある山中の一寒村である。』 仕事で岡山県に来ています。 岡山の県南の方は、とても栄えていて、少し驚きました。滋賀県と同じような田舎だと思ってた。 まず電車が1時間に1本じゃない。たくさん走ってる。負けました。 これからたくさん中国地方に来ることが増えます。 「八つ墓村」は、そのことを考えてか考えないでかは知らないけれど、 出張のお供にと、人が薦めてくれた本。 人から薦められた本を素直にすぐ読むのも久しぶりだし(今までいろんな本を薦めてくれたお友達ごめんなさい)、 長編小説を読むのも久しぶりだし、 ザ・ミステリーって感じの本を読むのも久しぶりでした。 ミステリーって感想書くの難しいね。 書いたら色々ぜんぶネタバレになっちゃう。なのですごく抽象的なことを書こう。 たぶん、お話しとしてはものすごく簡単。 けれど、簡単なものがどんどん複雑になっていって、いつの間にか訳が分からなくなっている。 高校時代に、国語の先生が、 「現代文の問題を解いていてわからなくなったら、最初に立ち返ってみるんや。 人が言いたいことや考えることは実のところそんなに難しいことやない。阿呆になって単純に考えてみい。」 って言っていたのを思い出しました。 探偵の金田一は、最初から犯人がわかっているんだけれど、 この小説は金田一視点では語られないから、読者はそのことを知らない。犯人もわからない。 けれど、小説の初めの方に、しっかり犯人が分かるようなことが書いてある。 でも、それがあまりに簡単なことなので、さらっと流してしまう。 なんか、そういうことって多いよね。 単純に考えればわかることだし、最初から答えなんて見えているのに、 そのことに気付こうとせず、いろんなところを行ったり来たりして、いつの間にか訳が分からなくなってしまう現象。 これからその現象のことを「八つ墓村現象」と呼ぶことにしよう。 金曜の夜に、休みの日に見るためのDVDを借りにレンタルビデオ屋さんに行く。 すると、5枚で1000円セールが開かれている。新作も可。 最初は2枚だけ借りるつもりだったのに、2枚と5枚で値段はそんなに変わらない。 悔しい。 ええい、どうせなら5枚借りよう。 でも何借りよう。うーん。 うーーーん。うーーーーーーーん。 2時間くらい経過して、やっと5枚を選ぶ。 借りたころにはもう深夜になっていて、金曜日にはもう観られない。 土曜日は予定が入ってるし、日曜日には1本くらいしか見られない。 平日に観ようにも、平日は仕事から帰ったらバタンキュー状態でDVDを観る余裕なんてない。 気付いたら1週間たっている。 結局観たDVDは1本。1本だけ借りればよかった。余計なこと考えるんじゃなかった。 これが八つ墓村現象の一例です。 伝わりませんか。そうですか。 くだらないね。 横溝正史が好きなら、宮部みゆきの時代物のミステリーとか、たぶん好きだと思います。 高校時代、宮部みゆきの時代物ミステリーがすごく怖くて、ゾクゾクしながら読んでいたんだけれど、 今読んでもその感覚、味わえるのかな。 #
by kobaso
| 2015-09-15 21:37
| 読書小話
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